なんにもいらない|《銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き》

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映画館で《銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き》を観てきた。昨年に配信が話題になっていたのに完全にノータッチで、内容もロクに把握していなかった。

全体的に擬古風なのが何故か最後までわからなかったが、なるほど人類が1960年代に宇宙に飛び出して、そこからあくまで現代(2020年代?)という設定らしく、我らは未来の映像を見ているみたいな感じ、なのかな。

で、ようやく概要を理解したので、いまさらだが映画の原作の前作にあたる《ミルキー☆ハイウェイ》を観てみる。なるほど、「ハイウェイ」は「サブウェイ」の前日端的な位置づけになっている。なぜ主人公の2人が警察のやっかいになることになったのかの顛末だ。

いずれもまったく面白い作品だったが、感想を言語化しようとしたとき、取っ掛かりを見つけるのが難しい。語られていない部分に触れると散らかるだろうし、起きている事態に触れるだけでは説明的な記述になりがちだろう。ここまで、既にそうなっている。

というわけで、亀山陽平監督のインタビューを読むことにし、以下を読んだ。アニメ本編(12話構成)、今回の映画、その他の仕事のインタビューなどが混在しているとはいえ、少しばかりは理解は深まった。

若い世代の監督だなぁという背景を感じたのは、小さい頃は映画「ハリーポッター」シリーズで感動したという点、アニメーションを志したキッカケ的な経緯が『アトランティス 失われた帝国』だという点などであった。わお。

一方で、古いカートゥーンが好きだとか、オールドディズニーが好きだとか、音楽は雑食系だとかいった点は共感できる。ディズニー的なアニメーション技法を学びに渡米する情熱も凄いが、現地で時代は3Dだと割り切ってほんならと帰国するという流れも面白い。

少しだけ話を作品に戻すと、古典的なアニメーション作品は、動きが面白いという根幹部分の強さが前提にあり、逆に言うとそれだけしかなかったとも言い得るのだろうけど、そこにこだわって制作されているということなので、それはたしかに言語化しづらい面にある。体験そのものが楽しい、くらいしかシンプルには言いようがない。

ついては、いくつかのインタビューで言葉にされていた「ストーリーが監督の思いの外、興味を持ってもらえていた」(意訳)というのは逆説的な部分だろう。この体験をエンジョイしたファンは何かを語りたいが、もっとも何気ないエレメントは物語にあたる。

さらにインタビュー(電ファミニコゲーマーかな)によると、本作には以下のようなテーマは設けられていたらしい。

  • 「なかよくしましょう」
  • 「みんな違ってみんなクズ」

なるほど。登場する若者たちが ペア×3 という構成、あんまり類作のイメージがわかないが、マブダチの女女、同じく男男、よくわからん総長(女)と舎弟(男)というバランスが面白い。逮捕(補導?)された彼らは、いわばクズなんだけど、それぞれには背景がある。

どう考えてもマキナが問題児すぎて他が霞んでいる。でもそれがいい。逆にどこまでも普通っぽいチハルでバランスが取れているのが絶妙だ。マックスとカートも似たような感じだが、社会の荒波に揉まれているぶんだけ、大人の視聴者としては逆説的に安心させられるヤサグレ感ではあった。

アカネとカナタの2人はちょっと倒錯的で、ね…、センシティブだなって…。

残りの登場人物、警察署の後輩のアサミ、署長のハガは、制作段階で設定はあったようだが、劇場版の追加カットでの新キャラクターらしい。

で、最後の1人のリョーコさんだけど、彼女だけノーマルな人間だ。皆は強化人間やらサイボーグやらであるのに。なぜ、彼女だけ只の人間なのかしら? ノーマルな人間に警察官が務まるのかも疑問だし、過酷な宇宙生活で只の人間が生き延びえているのも謎だ。

身も蓋もないことを言うと、設定上はバランスがとれるからと思われる。若者6人のカウンターとして機能する人物として、強化人間でもサイボーグでもないほうがいい。ユニークではあるべきだし、同時になるべくフラットな人間像、それがリョーコに求められ、そんなら普通の人間でイイじゃないかという、そういう判断じゃないだろうか。

で、構造上の要請からキャラクターが際立つことになるのが面白いし、これがお話の妙味だろうなと思うのであった。

その他のことなど

  • 「銀河特急サブウェイ」と銘打っているけど、フォルムは地上を走る鉄道だと思われるし、「特急」というクセに「各駅停車」なんだよね。言葉遊びの類だろうし、面白いのでよいが。
  • 列車がロボットに変形する作品、「シンカリオン」シリーズがまず思いついたが、トランスフォーマーにもいるようだし、レンジャーものにもあったかなと思って調べると『烈車戦隊トッキュウジャー』が当たるらしい。どれも未見。監督はどれもチェックはしてるだろうけど、いろいろあって笑えるね。ほかにもあるかな。
  • (ほぼ)単独制作のアニメーションというと、『JUNK HEAD』が思いつく。あの作品は3DCGに加えてジオラマも用いていたはずなので単純比較できないが、やはり個人制作の手つき感で近いところを感じる。けものフレンズのたつき監督の映像にも近さがある気もする。どうでしょうね。
  • どこかでどなたかも言っていたが、アニメ本編や映画化にはバックにシンエイ動画がついている。《窓際のトットちゃん》でもシンエイ動画なのかと驚いたが、こういうアプローチを増やして盛り上げていってほしいね。