帰る場所のない|《チェスナットマン》
Netfilxの『チェスナットマン』を観た。北欧ノワール、デンマークの作品だ。1クール6話で消化しやすいボリュームと言えよう。原作小説は人気ドラマ『THE KILLING/キリング』(未視聴)の脚本家が執筆しているとのことで、要するに、物語部分には間違いのない作品であるわけだ。
チェスナットマンとは「栗でつくる人形」で、デンマークにはこれを題材にした童謡もあるようだ(作中のフィクションでなければ)。子供の手遊びといったらそれまでだが、本作で象徴的に用いられているように、それなりに不気味な存在でもある(ようにみえる)。そんなチェスナットマンになぞらえられた連続猟奇事件が起き、主役のコンビはそれを追う。
地元の刑事トゥーリン、そしてユーロポールから一時的に出向してきたヘスは、次第に呼吸を合わせていく。トゥリーンが叩ぎあげの敏腕であること、シングルマザーで時間をとるべくサイバーチームに異動願いを提出中であることが冒頭でサッと語られる。
一方のヘスの事情は最後まで、あまり明らかにならない。で、まぁ、彼が優秀でないワケはないので(へっぽこなパターンもあるにはあるが)、彼女に邪険にされるのも最初のうちだけだった(チーム全体のなかでは終盤までほぼ無能扱いだったがね)。
また、冒頭で同時に、政府の社会問題大臣の家庭とその娘の失踪事件も話題として登場する。これが本編とどのように絡んでいくのか、そのへんも楽しめる。家族や政府関係者のキャラクターも立っており、どいつもこいつもいい感じに疑わしい雰囲気を纏っているのがよい。
今回は、あんまりネタバレ的な内容については触れたくないが、こういうサスペンスでたまにあるのが、主人公(本作ではトゥーリン)の置かれた立場が、事件の様相とオーバーラップするパターンだ。娘との時間をとれない彼女の状況と、被害者たちの境遇はまったく同じではないが、重ね見られるように工夫されている。歯がゆさが強まる仕組みだね。
もともと惨劇シーンやグロテスクな遺体の描写などが割と強めの作品だが、クライマックスは主人公らも結構ドンパチというかアクション映画張りに汚れたり、傷ついたりするのは勢いがあってよかった。犯人はもっと狂った感じであるかとイメージしていたが、これも狂気を適度に秘めたまま、割と冷静に終わった。どっちがよかったかはよくわからない。
最近の作品の傾向なのか、それはよくわからないが犯行シーンの回想のようなカットがまるでなく、これもこれで新鮮だった。尺の問題もあるだろうし、そもそも無理味の否めない犯行過程、そのリアリティを不用意に下げないための工夫とも思われる。だとすれば、なるほどなぁ。
ちょっと浦沢直樹の『モンスター』を彷彿とさせるところがあった。
ほんで、満足して気づいたら、第2シーズンがあるじゃないか。