帰る場所をつくる|《かくれんぼ:チェスナットマン》

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『かくれんぼ:チェスナットマン』を観る。

Netflixで不意に見つけた『チェスナットマン』も完結し、「楽しかったなぁ」と感傷に浸ってエンディングを眺めていたら画面右下に[次のチャプター]との表示があるではないか。いやいや、ちゃんと終わったし、なんぞと思ったら、第2シーズンがあるではないか。

今作、前作から5年とか、それくらいが経過しているようで、サイバー部署に異動したトゥーリンは髪色が黒ベースに玄人刑事らしさが濃くなっているし、ヘスは眼鏡を止めてイケメンくそ野郎度合が増している。救いはないのですか…。

以下、重大であろうネタバレを含む感想となる。

前シーズンも冒頭の展開は同じスタイルだったが、発端の事件は80年代か90年代と、かなり以前に本編が連なるキッカケとなるような事案があり、それが描かれる。マネしてみたいプロットづくりだ。本作では90年代、どこかの小学生のバスでのピクニックが登場し、森の中でかくれんぼの最中から不穏な出来事が起こる。

さて、前シーズンのラストでイイ感じになっていたらしいヘスとトゥーリンの関係については、作中では描写されていない期間に交際があったらしい。で、本作は関係の破綻後から始まる。これはありがち。ヘスが逃げるように姿を消したのだというのだが、ははぁ、かくれんぼだ。

で、何故、ヘスは姿を消したのか、誰から逃げたのか、隠れたかというと、彼女やその家族からではなく、実兄からであることは次第に明らかになる。彼が戻ってきたのも実兄が理由で、飲酒転倒による昏睡状態に対処するためだった。前シーズンの終盤では妻と娘を失っていることが判明したヘスだったが、血縁関係者にもあんまり恵まれていないことが判明する。孤独なシルエットだ。

そういった事情をトゥーリンに打ち明けておけばいいものの、負担になると感じたのだろうか、彼女はダメな兄がいるくらいなことは知っていたようだが、それが致命的な問題だとまでは把握していなかったように読めた。そんな関係なのでトゥーリンのヘスについての信頼はほぼゼロになっているし、ヘスの失踪に傷ついた娘のことをやたらと理由にする。

しかし、視聴者から見れば、彼女の態度には捻じれが生じていることも明らかで、なぜなら娘(リー)は、ヘスの失踪から立ち直っているか、そもそもあまりダメージを受けていないようであって、むしろ彼の抱える孤独にとっくに気づいており、そして彼に対する寛容さや心理的な近さすら取得している。人間関係、ままならないね。

で、第3話かな。トゥーリンは殉死します。

私事とはなりますが、このとき、かなり疲れた状態で流し見していたので、彼女の最期あたりの描写に奇妙さは感じつつも、「あれ?! マジか…」くらいの反応にはなって、それなりにビックリしました。直前くらいのやりとりや雰囲気の演出を考えてみれば、フラグは十分だったなと思う。ま、ヘスとトゥーリンの和解のような展開があったんだ…。

パートナー 和解したとき 相方なし。

今シーズンを覆う事件についていえば、前作の犯人の主動機が親(母)と子の関係性とその捻じれ、だとしたら今シーズンは、家族やパートナーを顧みない人間、あるいはそれを乱す不穏分子への怒りが基調になっている。チェスナットマン事件の方が視聴者からの評判はよさそうだし、主人公らとの関係性の構造は巧みだったように思うが、個人的には本事件の動機に身近な生々しさを感じて、好みではあった。

前作に引き続き、クライマックスは現場まるだしでかなり緊迫したやりとりが展開されるので、パターンといえばそれまでだが、エンターテインメントとしてはよくできている。トゥーリンの弔い合戦という面はもちろんあるが、それでも必要最低限は冷静なヘスの人間性がよい。

で、やや気になるのは、物語の締めくくり方だ。トゥーリンの不在について、ヘスとリーは、2人で家族として互いを癒やしながら前を向こうと決意して終わる。家族として。

え、そんなことある?

欧州かデンマークか、多様性かしらんけど、そうはいっても日本人的には、あんまり一般的な感覚ではなさそうだなという感触だ。どうだろうか? ヘスとトゥーリンが事前に籍を入れていたみたいな状況ならわかるけど、それこそ現地の法律も感覚も知らない…。

しかし、考え直してみると、描かれていない期間のトゥーリン家族とヘスは、それくらいの関係だったことの裏付けとなるのが、この結末なのかもしれない。そこまで考えると、シリーズの事件と主人公らの作劇上の関係性もそこまで弱いものではなく、むしろ味が強すぎるくらいなのかもしれない。

家族の調和はなぜ変調するのか。

そういえば、リーを引き取る予定だったトゥーリンの義父(おそらく正確には「養父」かな)とも彼女(リー)は血が繋がっていないわけで、それを考えると血縁とか過去の関係とかよりも、同じ未来を見据えやすい相手と家族になる方がモアベターという話でもあるのかもしれない。

とまぁ、サスペンスよりもヒューマンドラマっぽさが強い感想となったな。